【十の瞳】



グースは無言で携帯ゲーム機をいじっているし、えどがぁさんは手帳と睨めっこしている。


『ババ抜き』という言葉に過剰反応してか、八野は「私はやらないわ」とツンとはねのけたが、


その割に文庫本を読みだしたかと思うと突然、本を閉じて室内の絵画を眺めるように歩きまわり、落ち着きが無い。






シャッフルされたカードが配られ、一回目のゲームが始まる。
 



他の人が何をしようが僕には関係ないが、カードゲームの人数が少ないのは少々寂しいものがある。
 


五十三枚を三人に分配しているので、手札の数は多い。


しかし、同じ数字のペアを組んで抜いていくと、ほんの数枚にまで減ってしまった。



ジャンケンをして回る方向を決め、勝った僕が隣の十二愛のカードを引く。



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