【十の瞳】
「とりあえずは、マスターや……別の不審人物が隠れていないかを確かめるために、見回った方がいいかと思ってね」
そして、ここからが重要な話だという。
マスターの部屋に飾られていたナイフが、消えているというのだ。
「ナイフ?」
「壁に飾られた観賞用の……アンティークのもので、
……もしかしたら、今でも普通にナイフとして使えるものかもしれないそうだ」
その推測が弱いのは、藤浦さんの記憶に頼っているためだった。
彼も、実際にそのナイフを手に取ってみた事がないので、模造品か本物かすら、よく分かっていないらしい。
ただ、死体の見付かった部屋で刃物が消えているとなれば、それは凶器となった可能性も高いだろう。
……そして、そのナイフをまだ犯人が持っているかもしれないと言うことも、想像に難くない。