【十の瞳】
ファニーペインの呟きと共に、一同は溜め息を吐いた。
聞けば、どうやら全員にアリバイが無いらしい。
「平三郎さんは、酒盛りに最後までいて……それから、起きて自分の部屋に戻ったんだったね」
「ええ……」
それから話題は、現場の状況に移っていった。
『外気が体温よりも高くなると血は固まる』……というのが、
ミステリーの世界で常識のように信じられている法医学的知識である。
真偽のほどは定かではないが、真夏にも関わらず現場に暖房がついていたのは、
犯人がそれを見込んで、死亡推定時刻を誤魔化す為に設定したものだろうと推測された。