【十の瞳】
そして、マスターの部屋には大量の血痕があったのに対し、
平三郎の部屋(僕と蝶子の間の部屋だった……)には無かった事から、
平三郎が殺害されたのはマスターの部屋だろうと断定された。
ちなみに、マスターの部屋というのは、本館から離れた別館にある。
ただし、渡り廊下には屋根が付いている事から、ぬかるんだ地面に足痕が付いていたとか、そう言う事は判別できなかった。
別館は一階建てで、一室しかない。
藤浦さん曰く、ここがマスターの仕事場兼私室だったという。
ただ、室内は広さの割に、とても物が少なかった。
ぱっと目に付くのは、仕事用と思われる大きな机と、椅子、本棚、クローゼット(死体が入っていた)くらいのもので、なんとも寂しい印象があった。
「……部屋に鍵は?」
「かかっていなかったよ。
鍵は、マスター本人が持っていて、スペアキーは藤浦さんが保管しているそうだ」
「密室じゃなかったんですね……」
「ああ……」