【十の瞳】
 


やはり、彼も心のどこかで、彼女を宛てにしているのではないかと思う。


「あのさ……四十八願さんの事なんだけど……」


「下の名前で呼んじまえば?」


「十二愛を……あの子に、あんまり重圧をかけないようにしてくれないかな……? 


泣いてたんだ、昨日……」


「泣いてた? 


お前、彼女に何したんだよぅ~……?」
 

ファニーペインが急に、下衆な笑みを浮かべる。


「コラコラ、期待されてるような事は何もしてないっての……。


でも、こんな身近で殺人事件が起こったんだから、怖いのが当たり前じゃないのかな? 


むしろ、澄ましてる方が普通じゃないって……」
 

蝶子が、何故か山積みのどんぶりを抱えて歩いて来るのを見て、僕は、


「わーっ違います、どんぶりは使いません……!」


「大は小を兼ねる……」


「よく分かんないけどアウトです!」


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