リアル
「沢山食えよ」
生野の言葉に隆は飯を頬張りながら頷いた。
弁当を温めたのとは違う温かさがある食事は心に沁みるものだ。
「俺、弟がいるんだよ」
隆は生野のその言葉に箸を止め、生野の顔を見た。
「とは言っても腹違いで、つまり父親の愛人の子供な。会ったのは父親の葬儀の時だけだ。父親の葬儀の時、赤ん坊を抱えた女が現れたんだ」
生野は箸を弄りながら続けた。
「大きな目をした可愛い男の子で、何処と無く隆君に似てるかな。だから、放っておけないのかもしれない。俺の母親は昔はきつくてさ、愛人には一銭も金はやらなかった。父親も認知はしていないし、証拠がないって言って。その母子は貧しく暮らしてるのか、とか考えてしまうわけだ」
生野はそう言って苦笑いをした。
「ま、隆君からしたらただのお節介かもしれないけど、兄弟ごっこに付き合ってくれよ。たまにこうして飯を作らせてくれるだけでいいからさ」
「……俺なんかでよければいつでも」
隆の言葉に生野は今度は嬉しそうに笑った。
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