リアル





…………――――



このニコチン中毒が。


薫はコンビニに入っていく生野の後ろ姿を見ながら、腹の中で呟いた。


少い情報を見ると、まだ被害者の身元も何も分かっていないのだろう。


薫は踵を返し、再び現場へと近付いた。


刑事を辞めて七年。


犯罪を憎いと思う気持ちは昔と変わらない。


むしろ、昔より更に強くなっている。


だが、今は一般人でしかない自分が事件に首を突っ込むことなど到底許されない。


それはよく理解している。


生野も分かってはいるはずなのだが、時たまこうして、事件のあらましや捜査状況を教えてくれるのだ。


それは全て、被害者が若い女性の時だ。


となると、今回の被害者も若い女性なのだろう。


まだこれからの未来があるというのに、命をむしりとられる。


殺人という犯罪は、薫が最も憎む犯罪なのだ。




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