リアル



現場に近付くと、更に野次馬が増えていた。


普段は車一台通るのすら希な道だ。


とはいえ、それは薫がこの道を通る時間帯の話だ。


真っ昼間ともなれば、もう少し交通量も多い。


犯人は、死体を隠したかったわけではないのだろうか。


むしろ、見せたかった?


薫は辺りを見回しながら考えた。


死体がこの時間まで見付からなかったのは恐らく単なる偶然だろう。


本来なら、もう少し早く見付かってもいいはずた。


となると、犯人はやはり死体を隠すつもりはなかったのだろう。


自分が仕出かしたことを見せたがる殺人犯は少なくない。


むしろ、隠すのは誤って殺してしまった場合のが多い。


なら、犯人は被害者と特に顔見知りというわけではないのかもしれない。


薫はそこで思考を止めた。


中を必死に窺おうとしている人物が目に入ったのだ。


確かに、野次馬達はそんな連中ばかりだ。


でも、それとは何か違う。


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