リアル
「わざとコーヒーをかけて接点を作ったのよ。じゃなきゃ、接点なんて持てないでしょ?」
薫は面倒臭そうに早口で説明を終えた。
それでも隆には十分通じたらしく、驚きと尊敬の眼差しで薫を見てきた。
「すげえ……。刑事って、皆そんなに頭働くわけ?」
隆の言葉に薫は少し気恥ずかしくなった。
こんな程度で尊敬の眼差しを向けられるのだ。
隆は純粋なのか、それとも単純に馬鹿なのか。
それを測る術はないが、悪い気はしない。
ただ、何というか照れ臭く、むず痒い感じがしてならない。
薫は帰るわよ、とだけ言い、足を前に出した。
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