リアル
「殴られる度、怒鳴られる度に、死ねばいい、死んでくれ、て思ってた。虐待される子供は、よく自分が悪いと思うとか言うけど、俺は違った。奴等の怒りが理不尽なことを理解していた。
だから、何で俺がこんな目に遇うんだって、いつも思ってた。そして、解放されたかった」
隆はそこで一呼吸置いた。
瞳は更に暗さを増している。
「そしたら、二人とも殺された。……俺は、自分が望んだ通りに解放されたんだ。ほっとした後、突然怖くなった。
俺がそう望んだからじゃないかって。俺が死ねばいいと思ったから、あんなことになったんじゃないかって」
そんなはすがあるわけはない。
だが子供ならそう考えで不思議はないだろう。
「そして、後悔した。あんな両親でも、殺されたと理解した時、涙が出た。一人ぼっちになってしまったと思った。
……そして、今も後悔してるし、両親に懺悔もしてる」
そんな必要はない。
そう口から出掛けた。
だが、その言葉を口にすることは出来なかった。
どんな両親でも、子供にとっては唯一無二の親なのだ。
虐待されている子供はどんな目に遇っても、親から離れたがらない子が多い。
刑事時代に、生活安全課にいる同期からそんな話を聞いた覚えがあった。
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