リアル






「……だから、必ず犯人を殺すと、父さんと母さんに誓ったんだ」


隆は声を震わせて言った。


その決意を抱くまでにどれ程の時間を要したのだろう。


それは薫には想像も出来ない。


だが、自分とよく似ている。


自分のせいで家族を失い、それを心に留めて生きている。


でも、違う。


小田が生存していたとして、自分は彼を必ず殺すと心に誓うだろうか。


やはり、分からない。


実際、小田は生きていないし、それを想像するのも簡単ではない。


殺してやる、と思った気持ちは確かだが、引き金を引くのを躊躇ったのも事実だ。


「……何が違うんでしょうね」


薫は苦笑いをした。


その答えを見付けることは今は出来ない。


もしかしたら、一生出来ないかもしれない。



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