リアル
「趣味という程ではないのですが、休日にジムに通ってます」
美緒は笑みを浮かべながら答えた。
美緒はこうしてずっと笑みを浮かべ続けている。
「そう、ジムに」
そう言う美緒は運動はしていないように見えた。
小柄はではないが細い身体からは筋肉という言葉は連想出来ない。
身長は薫より高く、百六十は越えているだろう。
だが体重は五十キロに満たなそうだ。
「サークル活動もしていないので、運動不足になりがちなんですよ。だこら、水泳とテニスを」
薫はどちらのスポーツも苦手だった。
元々運動自体得意ではないが、刑事時代に仕込まれた柔道だけは自信がある。
それでも、端から見れば薫も美緒と同様に非力な女性に見えるだろう。
「いつから?」
「大学入ってすぐくらいですかね」
それなら、ある程度の身体は作られているのだろう。
それでもやはり美緒が身体を動かすようには見えない。
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