リアル





「趣味という程ではないのですが、休日にジムに通ってます」


美緒は笑みを浮かべながら答えた。


美緒はこうしてずっと笑みを浮かべ続けている。


「そう、ジムに」


そう言う美緒は運動はしていないように見えた。


小柄はではないが細い身体からは筋肉という言葉は連想出来ない。


身長は薫より高く、百六十は越えているだろう。


だが体重は五十キロに満たなそうだ。


「サークル活動もしていないので、運動不足になりがちなんですよ。だこら、水泳とテニスを」


薫はどちらのスポーツも苦手だった。


元々運動自体得意ではないが、刑事時代に仕込まれた柔道だけは自信がある。


それでも、端から見れば薫も美緒と同様に非力な女性に見えるだろう。


「いつから?」


「大学入ってすぐくらいですかね」


それなら、ある程度の身体は作られているのだろう。


それでもやはり美緒が身体を動かすようには見えない。


.
< 173 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop