リアル




隆は薫からコーヒーを受け取ると、ふうふうと息を掛けてそれを冷ました。


「常海歯科大附属の診察の毛布と、被害者の衣服から見付かった毛布の繊維が一致したらしいわ」


話があるからコーヒーを与えたのだ。


隆はマグカップに口をつけたまま、薫を見上げた。


何だか、野良猫を手懐けたような気分だわ。


隆の幼さの残る顔を見ながらそんなことを思った。


結局、最後までいかなくてよかった。


この二日間で薫は何度もそう思った。


あれは一時の感情に過ぎない。


慰めたいと思ってしまっただけだ。


彼を抱きたいなどと思ったのは、ただの気の迷いだ。


だから、結局キスだけで終ったのだ。



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