リアル
なのに。
薫は隆の顔から目を逸らした。
この男は何事もなかったかのような顔をしている。
何故、一回り以上も年上の自分の方が距離を計り、気にしているのだろう。
馬鹿らしい。
薫はそう考え、事件のことに頭を切り替えた。
「それって」
「あの中に犯人がいる可能性が高いってことよ」
薫は冷静な声を出した。
「今、生野が貴方が拾ってきた話に合うような男を大学内から捜してる」
あそこにいるのは学生だけではない。
だとすれば、三十代の男など山のようにいるだろう。
そこから犯人を探し出すのは大変かもしれないが、当てがないよりはずっとましだ。
「てか、何でそこを捜査したんだ?」
隆は首を傾げながらマグカップをテーブルの上に置いた。
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