リアル
「最初は、本当に興味本意でサイト作りました……」
取調室にて、美緒はぼそりぼそりと口を開いた。
生野がその話を聞き、若月が調書を取っていく。
「でも、ある時、あの三人のブログに怒りを覚え始めました。……私のような境遇を羨んでいたんです。
私は病院の娘で、お金もあって、歯学部で、友人も恋人もいます。
でも、全然満たされてなかった……」
美緒は喋りながら時折鼻を啜った。
聡明そうな瞳からはぽろぽろと涙が溢れている。
「なのに、あの子達は……そんな日々を幸せだと勘違いしていたんです。悔しくて……。何も知らないくせに。
プレッシャーとか、周りからどう見られるかとか、恋人が浮気してるとか。
上辺だけじゃ、肩書きだけじゃ、本当に幸せなのかなんて、あるはずないのに……」
美緒はそれだけ言うと声を出して泣き始めた。
植田美緒についてはきっちりと調べを済ませていた。
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