リアル
「相手は誰か分かるか?」
「いえ……」
その瞬間、取調室の扉が開いた。
そして後輩の宮田が遠慮がちに入ってきた。
宮田は生野に一枚の紙を渡した。
そこには美緒の所有する車から常海歯科大附属病院にあるものと同じ毛布と、被害者三人の頭髪が見付かった、というものだった。
だが、自供している今、その証拠はさして重要ではない。
裁判の時に使えるくらいなものだ。
「で、知らないのか?」
宮田が取調室を去ると同時に生野は口を開いた。
「はい……。登録していない番号でしたし、いつも違う番号でした。何処で私のことを調べたかも分かりません……」
美緒は俯いて答えた。
嘘だと思われているかもしれないと思っているのだろうか。
「私が殺すと決めると、日時を指定されました」
通話履歴が残っている以上、嘘ではないだろう。
それに、美緒が被害者と接触したような痕跡もないのだ。
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