リアル




「犯人は未だ捕まっていない」


隆は響く声ではっきりと言い、薫の目を見てきた。


警察の無能さを責める目。


両親を救うことの出来なかった自分を責める目。


犯人を恨み続ける目。


隆の茶色ががった瞳には、そのどれもが潜んでいた。


「それ以来殺人事件が気になるんだ。今回みたいな、不可解なやつがね。両親殺しと関係あるんじゃないかと思わずにはいられなくて」


薫は隆の話を信じるべきか否か迷った。


作り話の可能性だってある。


だが、目だけは嘘をつけない。


薫は悩むのをやめ、隆の話を信じることにした。


単純かもしれないが、あれこれ疑うよりは信じたい。


昔からそう思っていた。


疑いだせばキリがない。


だが、信じることも大切なのかもしれない。


こんな昨今だからこそ。


「信じらんねえか?」


隆が静かに目を伏せた。



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