リアル




「信じるわ」


薫は苦笑いをしながら答えた。


出会って二日目の人間とこんなに会話を交わすなど、どれくらい振りだろう。


接点が欲しかったのかもしれない。


妹を殺されて以来、両親とも会わずに一人で暮らしてきた。


そろそろ、寂しかったのかもしれない。


だけど、誰にも深入りされたくなくて心を閉ざしてきた。


だが、人との繋がりが欲しかった。


偽りの話かもしれないが、自分と似た傷のある人間と関わりを持ちたいと思った。


「でも、私は今は警察じゃないから、犯人探しは出来ないわよ?」


薫は隆が完食した器を下げながら言った。


そうだ、どんなに殺人事件を憎んだとしても、自分は何も出来ない。


ただ、事件の経過を知ることしか出来ないのだ。


それが悔しくて、テレビも新聞も見ないようにしている。



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