リアル
隆は静かに腰を下ろした。
少々のあどけなさを残した顔立ちだ。
ついこの間まで少年と呼べたであろう彼の過去はあまりに深い。
そして、あまりに残酷だ。
何かを切り出すべきか迷っていると、テーブルの上に置いた携帯電話が着信を告げた。
ぴりりりり、と不快な音を立てている。
ディスプレイを確認すると、着信の相手は生野だった。
「何?」
薫は低い声で電話に出た。
「今からそっち行っていいか?」
生野の問いかけに薫は躊躇った。
だが、直ぐに承諾した。
生野は捜査が忙しい時に、何の用もなく訪れる男ではない。
聞かせたい話でもあるのだろう。
薫の了承を得ると、生野は直ぐに向かう、とだけ告げ電話を切った。
向かいでは隆が何か訊きたげな顔をしている。
「今から現職の刑事が来るわ。問題ない程度なら答えてくれると思う」
薫が言うと、隆は少しだけ表情をかえた。
彼は本来、無邪気な性格なのだろう。
小さく表情を変える隆を見ながら、薫はそう推測した。
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