リアル



薫は生野の分の茶を用意しながら、次の言葉を待った。


薫は生野とは長い付き合いなので、続く言葉の予想はつく。


だが、隆は違うだろう。


生野がどんな言葉を繰り出すのか不安で堪らない表情をしている。


今まで、どんなに犯人が憎いと思っても、こんなふうに殺人事件に関われる機会はなかったはずだ。


なので、もし望む結果が出なかったとしても、何としてでも関わりたいと思っているだろう。


「でも、君はただの一般人だ」


生野は煙を吐き出しながら言った。


その言葉に隆が下唇を噛んだ。


「だから、情報を漏らしたことはくれぐれも内密に」


生野が悪戯っぽ笑うと、隆は途端にほっとしたような表情を見せた。


どうしても、両親を殺した犯人を突き止めたいのだろう。


その気持ちは薫にもよく分かる。


薫にもどうしても突き止めたい存在がいるのだ。




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