リアル




「で、何?」


薫は二人分のコーヒーを用意しながら訊いた。


頭の中は大分醒めてきてはいるが、それでも睡眠不足による眠気は残っている。


「あ、ああ。俺なりに二つの事件を纏めてみたんだ」


隆はそう言って一枚の紙を取り出した。


それはスーパーあきやまの特売広告だ。


隆は薫がその店に勤めているとは知らずに、偶然そのチラシを使ったに過ぎないのだろう。


そして、そこには二人の被害者の名前と死因、職業などが書いてある。


一人目の被害者、清原仁美、窒素死、本屋のアルバイト。
発見された場所は川原。


二人目の被害者、坂口佳奈、溺死、派遣OL。
発見された場所は空き家の前。


「似ているのは、年齢、死因、死体が放置されていたってこと」


隆はチラシを指差しながら言った。


男の割には丸みを帯びた字だ。


「それくらいなら、とっくに気付いてるけど?」


隆は自分が元刑事であることを忘れているのだろうか。


薫は湯気の立つコーヒーカップを置きながら返した。


「そうなんだけど……あ、あとは抵抗した痕が残ってないことか」


隆は持参したらしいボールペンでその事柄を書き足した。



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