リアル



薫は押し入れを開け、服を取り出した。


そして、カーディガンを脱ごうとし、直ぐに手を止めた。


「着替えるから出ていって」


このアパートはワンルームの為、隆を外に出さないと着替えることが出来ない。


隆は薫の言葉に無言で頷き、外へと出ていった。


薫は素早く着替えを済ませた。


いつも通りの素っ気ない格好に、今日はジャケットではなくコートにした。


昨日辺りから、寒さが厳しくなってなり、流石にコートでなければ冷えてしまう。


コートのポケットに財布と携帯電話を突っ込み、鍵を掴む。


一応、火の元を確認してから、外へと出た。


外では隆が寒さに身を縮こませながら待っていた。


「お待たせ」


薫の言葉に、隆はああ、と言った。


「二人目のが近いわよね」


薫は部屋に鍵をかけながら訊いた。


「だな」


隆が答えると同時に、かちゃ、と施錠された。



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