リアル


事件が起きれば、会えないどころか連絡の一つもしてこない。


そして、そういった態度を取ってしまったせいで自分から連絡することも出来ないのだ。


早く事件が解決して欲しい。


そう願うのは、生野の安否を心配してだけではない。


ただ、会いたいという我が儘もある。


彼の職業は出会った時から知っていたし、理解もしているつもりだ。


でも、本心は別だった。


それに……。


「たまには我が儘言ってもいいんじゃないかな」


蒔田の言葉に京華は顔を上げた。


蒔田にはよく恋愛相談に乗ってもらっているので、二人の関係は知られている。


「言えないですよ」


京華はそう答えた苦笑いをした。


言えるわけがない。


だって嫌われたくないのだ。


嫌われるきっかけなど作ってしまったら、あの人はあっさりと自分の前から去ってしまうだろう。


折角、二年も一緒にいるというのに。


「まあ、あまり溜め込んじゃ駄目だよ」


蒔田は優しく言ってから、コーヒーを旨そうに啜った。




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