リアル
薫が隆と共にアパートに戻ると、部屋の前には生野の姿があった。
「二人でデート?」
並んで歩く二人に生野は笑いながら言った。
「現場を見てきたんですよ」
それに返したのは隆だった。
いくら冗談といえど、こんな年上と恋人扱いされたくないだろう。
薫は隆の横顔を見ながらそう思った。
自分自身、恋愛をする気がないのを差し引いても彼をそういった対象に見ることは出来ない。
二十三歳なんて、まだまだ子供だ。
「何か気付いたか?」
ドアの鍵を開ける薫に生野が尋ねてきた。
「特には何も。見える景色も全く違うしね」
言い終えると同時に鍵が開いた。
「明日で構わないから、行って欲しいところがあるんだ」
生野は手にしていた缶コーヒーを飲み干してから言った。
「行って欲しいところ?」
薫の問いに生野が頷く。
一旦話を切り、三人は薫の部屋の中に入った。
主が不在だった部屋は冷えきっていて、薫は急いで暖房をつけた。
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