∮ファースト・ラブ∮
ぎゅるるるる~。
静かな屋上に響いたのは、あたしのお腹がご飯を催促する音だった。
麻生先輩の過去がわかって、ひと段落して安心すると、なんでかな。
お腹がすくの。
あ、そういえば、あたし、お昼ご飯食べてなかった。
「ぶっは!!
手鞠ちゃん、すっげ音!!」
うっさいよお猿さん!!
麻生先輩にしがみついたまま、あたしは葛野先輩を横目で睨(にら)む。
「手鞠ちゃん?
ひょっとして、ご飯食べないまま睦と話してたの?
あと15分でお昼休憩が終わってしまうよ。
早く食べておいで」
麻生先輩はそう言って、あたしから体を離す。
お腹すいたのはたしか。
でもでも、もうちょっと麻生先輩の側にいたい、って思うのもたしかなの。
いつまでもグズグズして、麻生先輩から離れないあたし。
ちゅっ。
あたしの頭のてっぺん。
やわらかい何かが乗った。
まさか。
これって…………。
頭のてっぺんにもキスされた!?