∮ファースト・ラブ∮





昼休憩から放課後に変わるのはすぐだった。


オレは今、廊下を走っている真っ最中だ。



くっそ!!

紀美子!!

手鞠ちゃんに何をする気だよ!!




久遠には紀美子のことは言っていない。

言ったところでどうにかなるわけでもないと判断したからだ。


それに……休み時間になるごとに手鞠ちゃんは教室にやって来たしな。

言える空気じゃなかったんだよ。



とりあえず、今オレは紀美子を探していた。


手鞠ちゃんに何かする前に紀美子を止めれば……と思ったんだが……。







「たった一人の女を探すのに、こんなせまっこい学校で、いったい何分かかってんだよ――――!!」






放課後とはいえ、まだたくさんの学生がいる中、オレは吼(ほ)えていた。


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