3つのナイトメアー


で泣いた。しかし、手のかかる赤ん坊の存在は、恭子に悲しみに打ちひしがれ


る猶予も与えなかった。子育てに忙しく翻弄される日々の中、恭子の足は次第


に父の病院から遠ざかっていった。


 そんな恭子に代わって、父を励まし母を手伝ったのは、あの華代だった。父


のことを心痛した智伯父が、まだ子供がいなくて自由のきく華代に命じたの


だ。そのために、わざわざ上京してくれた華代に、恭子は礼が言いたかった。


直接会って話をするのは、何年ぶりだろう?



 
 待ち合わせた喫茶店で、華代は恭子に向かって微笑みながら手を振った。二


十六歳になる華代は、純朴でふっくらとした少女の頃の面影は消え、シャープ


でどこか愁いを帯びた大人の女性に変わっていた。恭子は目をしばたたかせな


がら言った。


「わあ、華代ちゃん、綺麗になってて驚いた。
< 124 / 208 >

この作品をシェア

pagetop