3つのナイトメアー


えてなかった。黒目がちな瞳を潤ませてさめざめと泣く姿は、おおぜいの参列


者の関心と同情をかった。恭子は、これまでの父に対する彼女の冷たい態度を


思い出して、白々しい気分になった。離婚してからもなお、陰からずっと父を


支えてきた母が憐れであった。


 決して教養をひけらかさず、温厚で世話好きだった父の、人柄の良さと人脈


の広さの表れか、後を絶たない参列者が皆、ハンカチを手に目がしらを押さえ


ている。恭子も、優しかった父の面影に胸を締めつけられ、涙が溢れ出てき


た。子供の頃、祠で願ったことがこんな形になって父に災いしたように思え


て、自分の愚かさを悔やんだ。


 その時、動物が唸るような慟哭が聞こえてきた。華代が地面にひざまずい


て、顔を涙でグジャグジャにしながら号泣し始めたのだ。


「貴之伯父さん、伯父さ~ん、なんで死んじゃったのよ~」


 昔から人に対して愛情こまやかだった華代
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