3つのナイトメアー
近くの喫茶店であう約束をした。華代とは、父の葬式以来、互いが自分の家庭
のことで忙しく疎遠になっていた。たまに電話で近況を報告しあっていたが、
こうして直接会ってじっくり話をするのは、まさに二十年ぶりだった。父の葬
儀の数か月後に生まれた華代の長男も、立派な成人になっているだろう。しか
し、いきなり上京してきてこちらの都合も聞かずに呼び出すという、これまで
の華代らしからぬ軽率な行動に、現在の彼女のただならぬ切迫した状況を予測
して、恭子は不安に駆られながら喫茶店のドアを開けた。
すぐに華代が目に入った。四十六歳になる華代には年相応の衰えが見られた
が、儚げで優しい雰囲気の中、凛とした知的な表情が、昔からの華代そのもの
だった。恭子は、懐かしさが込みあげてきて、二十年間の空白を埋めるよう
に、華代にかけ寄った。
「華ちゃん、久しぶり、元気だった? 昔と変わらないね」