3つのナイトメアー


世ラインから外れてあっけなく退職してから、これまで猫をかぶってた本性を


剥き出しにして、所かまわず私に辛く当たるようになったわ。私だけなら我慢


出来た。でも、長男、圭っていうんだけど、その子に気分次第で暴力を振るう


のだけは許せなかった。圭も、そんな父親を嫌ってね、大学に入ってからは全


く家に寄りつかなくなった。私、主人に女がいるってことは、薄々気がついて


たわ。でも、荒波を立てたくなくて、見て見ぬ振りをしてきた。そんな私を置


いて、主人はいきなり姿を消した。預金から株から、金目のものは洗いざらい


持ち出してね」


 恭子の頭に、昔結婚写真で見た華代の夫の顔が、おぼろげながら浮かんでき


た。これといった特徴のないのっぺりとした顔立ちなのに、内面の利己的な計


算高さがにじみ出ているようで、嫌悪感をもったのを思い出した。恭子は、華


代に同情して怒りを込めて言った。


「華ちゃんが、そんな酷いことになってたなん
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