3つのナイトメアー


に現れた。圭は、冬彦と恭子に向かって丁寧に頭を下げた。


「母がお世話になってます。祖父も無事手術が済み、徐々に回復してるようで


す。大学の夏季休暇が終わるまでには、母もこちらに戻ってこられると思いま


す。ご期待に添えるかは分かりませんが、体力だけはありますので、こき使っ


てやってください」


 あいさつを終えた圭は、はにかんだような笑みを浮かべた。事務所にいた女


子社員から、ほおっと溜息が洩れた。それほど圭は新鮮な魅力に溢れていた。


 今風のスラリとした長身に、優しげな端正な顔を見詰めていると、恭子はあ


ることに気づき、はっとなった。圭には、亡くなった父の面影があった。父の


唯一の子供だった恭子ですら、ほとんど父の面ざしを残してないのに、なんと


いう偶然だろう。


 大好きだった父が戻ってきたようで恭子は嬉しくなり、圭をいっとき自宅に


住まわせて、冬彦の仕事を手伝う、圭の身の回りの世話を甲斐
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