シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

そして上空には、金翅鳥(ガルーダ)が炎を撒き散らし、櫂と僕を包む青い結界はびりびりと不穏な震動を伝える。


もう少しで、灼熱の業火に包むと警告している。


だから僕は、更に青い力を放出させた。



「――…玲。

力の無駄遣いだ。


――…諦めろ」


決して諦めるなと僕に言い続けてきた赤き女性は、僕に諦めろと言った。


無性に泣きたくなった。


孤独に苛まれ、我慢ばかりして自分を押し殺していた…あの時に帰れと、貴方は言うんですか?


芹霞と皆に出会う前に、戻れと?


今更!!!?


それは実の母親から虐待を受けた時よりも、辛かった。


緋狭さんの口から、それは聞きたくなかった。



「坊は――…

死なねばならぬ」




"諦めろ"

"死ね"


どちらの言葉が残酷か判らない。


緋狭さんの…隻腕の相手をしている櫂の表情は、此処からは見えない。


櫂と僕の荒げた息遣いだけが響き渡るだけ。



「お前達には、万が一の逆転もあり得ない」


言葉は凶器。

何処までも僕達を絶望に沈ませる。


それは久遠の言霊のように…絶対的威力を放っているように思えた。


あと少しなのに。

あと少しで行き着くというのに…!!!


緋狭さんの壁に阻まれ、こんなに遠く感じるとは。


遠い。

遠すぎるんだ!!!
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