シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「紫茉ちゃん、由香ちゃんにどう連絡すればいい?」
未だ落ち続けながら、紫茉ちゃんに問いかけてみた。
『眠りについた"自分"を思い出しながら、意識を現実と此処に2分させろ。その状態で、言いたいことを強く思えば…言付けが出来る』
「意識の2分化…ね」
今此処に居る僕。
眠っている僕。
意識しながら…やってみたけれど…うまくいっただろうか。
『玲…そろそろ底だ』
紫茉ちゃんの声から程なく、僕の身体は動きを止めた。
「随分と落ちてきたけれど…痛い着地ではないんだね?」
くすりと笑いながら問いかければ、
『ここらは"夢"の領域だからな。無痛覚なはずだ。逆に痛みを感じた時は警戒しろ。現実の身体からの痛みが流れている証拠だから。この世界が壊れかかっている証拠だ』
「判った」
『あたしが支える限りは大丈夫だと思うが…もしもの時は玲を連れて、表層意識へ…上に上る。出口は…入ってきた場所だけだ。"夢が意識の最下層で誰とも繋がっているとはいえ、抜け出る場所が複数あれば…"夢"として成り立たないらしい。朱貴が言うには。"夢"の領域を確保する為の…仕方ない此の世界のルールらしいぞ』
「朱貴は…紫茉ちゃんの力を持っていないのに、何でも判っているんだね」
それがいやにひっかかり、謎めいてはいるんだけれど。
『あたしも同感だ。あいつはすぐ怒って隠すんだけれど…だけど的確なアドバイスはくれるんだ。ということは、朱貴は…こうした件に慣れているのかな。自分じゃなくても、誰かがそういう力を持っていたとか』
「朱貴の"夢"には潜ったことはないの?」
『弱味掴んでやろうと…一回…試みて、朱貴に反撃された。あいつは…夢に"自我"が保てる明晰夢を視る奴だったんだ。
…ふっ。あたしの行動なんてお見通しで、夢で逆に待ち構えられていて…もうそれは。容赦なく。徹底的に。ああそれはもう見事にやられたよ…死に目に遭った。何日も目覚めず寝込んだ』
僕は唖然と…言葉を失った。
夢の反撃者って…いるんだ。