シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
奥に踏み込む危険性は承知しているが、どうしても…"エディター"が何かを隠し持っている気がして、それを見ないと解決できないような…そんな気がしていた。
紫茉ちゃんでさえ辟易する程の世界を創りだしたのが"エディター"であるなら、そうした世界構成にした理由も、必ずあると思うから。
そんな時、景色が突如薄らいだ。
「紫茉ちゃん!!?」
『現実世界で…何かあったな。あたしの身体が…揺れて意識が戻りかけた』
世界は再び、紫茉ちゃんの膜に覆われて。
そして僕は――
身体に痛みを感じたんだ。
「!!!?」
無痛覚なこの世界、痛みを感じるのは…
危険なことじゃなかったっけ?
『玲、やばい。緊急事態だ。これは朱貴と取り決めた"強制覚醒"のものじゃない。現実(リアル)が、あたし達の身体がやばい。身体に万一のことがあれば…あたし達は此処を彷徨い続ける羽目になるぞ。幽霊の状態だ!!!』
幽霊……。
『戻る。一度身体に戻るぞ。用意はいいか? 上昇する…え?』
驚いたようなその声より、更に驚愕したのは僕の方。
ぽんっという擬音語でも飛び出てきそうな勢いで…
「どうして!!?」
紫茉ちゃんの身体が現れたんだ。
「どうしてあたしが人型を!!? これなら…余計に力を消耗してしまうじゃないか。ああ!!! 傍観だけに戻れない。どうしてだ!!?」
そして、僕はこの世界の異変に気づく。
紫茉ちゃんが防御のように保護していた膜が…薄れているのだ。
それはつまり、夢から来る"攻撃"が、よりストレートに襲ってくるということで。
「玲、とにかく全力尽くして此処から出よう。それに…おかしいんだ。明らかに、あたし達以外の主観…"意識"があるんだ、無意識領域界に」
「他に侵入者がいるということ!!?」
「いや…侵入者というよりむしろ…」
そう紫茉ちゃんが言った時だった。
「うふふふふふ。こんにちは、"王子様"」
上岐妙…"エディター"が微笑んでいたのは。