シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
みつあみをとった、腰まである長い黒髪。
短い前髪。
片目だけの碧眼。
煌が前髪を切ったのは、"使い魔"の方であったのに…これは、僕の記憶から引き出された姿なのだろうか。
「うふふふ。私に、"あれ"の記憶は流れてくるの。判りやすいように…時系列を揃えようと、実際私も髪を切ってみたのだけれど…どう? 似合う?」
前髪を切っただけなのに…イメージはがらりと変わり、露になったその顔の造りは整っていて、かなりの美少女だった。
オッドアイが更に妖しい魅力となり、吸い込まれそうな美貌を披露している。
その為なんだろうか。
高慢にも思える態度を見せてくるのは。
僕は"エディター"の質問にはあえて答えず、以前どおりの強硬姿勢で彼女を見つめた。
「いくら"エディター"の領域だとはいえ、人間なら…この場所で意識を保てないと聞いたんだけれどね、僕は」
僕は顔を歪めながら、紫茉ちゃんをちらりと見れば、彼女はこくんと頷いた。
僕達以外の"主観"とは"エディター"のことなのだろう。
だとすれば――
――当人が認識できる範囲は、意識の部分だ。深層部分でこちらを認識できる奴は、会ったこともない。朱貴でさえ、意識レベルだったからな。
"エディター"は、朱貴以上の存在だというのか?
ありえない気がした。
だとしたら何だ?
これは――罠?
「此処は私の世界よ? 私が居て…当然じゃないの。というより、貴方達が居る方がおかしいわよね? 勝手に心を覘くのは、女の子に対して失礼だと思うけれど…うふふふ、玲さんは私の王子様だから、特別に許して上げる」
そう、自分に与えられたと思い込んだ"権威"を振りかざし、にこやかに笑った。
「だけど――」
突如、美しく整った顔が、冷ややなものとなり。
「私の許可なくして勝手に入った、その女は許さない」
その言葉が終わるや否や…紫茉ちゃんの身体が浮き、地面に叩きつけられた。