胸の音‐大好きな人へ‐

言っとくけど、俺はそれほどカッコイイわけじゃない。

初対面の人にはよく「芸人の○○に似てる」「○○ってバンドのドラムにそっくり」って言われたりはする。

みんな褒め言葉でそう言ってくれてるんだろうけど、芸人の○○もドラムの○○も、トークが上手いし周囲に気遣いが出来る男性だからイケメンに見えるんだよ。

決して、顔のパーツが整ってるわけじゃない。


本人さえその気になればモデルやジャニー○にだってなれそうな容姿を持って生まれた兄を間近で見て育ったから、美意識だけは高かったりする俺。


そうやって偉そうに他人の批評をしてみるものの、俺は格段にしゃべりが上手いわけじゃないし、勉強が人並みに出来るってだけの、パッとしない帰宅部少年だったわけで。

女子に憧れられる存在かどうかと人に訊かれたら、迷わず「圏外だろ。もし俺が女だったら、俺とは付き合いたくない」と答えられる。

そんな自己評価の低い中学生男子が学年1の美少女に告白なんかされたら天にものぼる気持ちになるし、妙な自信だって湧いてしまう。

舞い上がるなって方が無理。

本気になっちゃうって。

元々、遊びで女と付き合うーなんて感覚も持ち合わせてなかったけどね。

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