胸の音‐大好きな人へ‐
バカにされたら腹立つじゃん。
やる気満々で入ったバイトなのに、2日目にクビにするなんてひどくね?
店長に文句言いたくならね?
近所の子にクロール教えるのだって、俺だったら無理。
そんなのより自分のこと優先したくなるし、そもそも自分が泳げないのにプール行ったって、つまんないじゃん。
いくら、その子になつかれてるとはいっても。
なのに、春佳は絶対泣かないし、また頑張ろうって立ち上がるんだ。
つらいはずなのに、俺だったらすぐに投げ出してしまうことなのに、嫌なことがあっても笑って過ごしてる。
補習ってだけでテンション低い俺と常に笑顔を失わない春佳は対照的過ぎて。
夏の終わりの太陽より、春佳は俺の目に眩しく映った。