しゃぼん玉
『親に話すのは保留にしておいて……。
マナちゃんとシュンにも、相談してみない?
きっと二人なら、力になってくれるから』
「そうだね。一人でいるのは危ないもんね……。
明日、二人に相談してみるよ」
ナナセは悔しそうな声色で、
『ごめんね、俺……。何も役に立てなくて……。
結局、他人頼りになってる。
俺だけミズキちゃんと違う大学だし……』
「そんなことないよ。
こうして話を聞いてくれるだけで、十分だよ」
マナとシュンはミズキと同じ大学だが、ナナセだけは違う大学に通っている。
ナナセは幼い頃から成績優秀で、県内で最も偏差値が高い名門私立音羽高校に通っていた。
大学もエスカレーター式で音羽大学へ進んだのだ。
父は大学教授、母は華道·茶道の講師をしており、家も裕福なナナセの顔には品の良さがにじみ出ている。
そんなナナセは、男同士のケンカや激しい出来事に免疫がなく、そんな自分に劣等感を持っていた。