しゃぼん玉
ミズキもそんなナナセの心情が理解出来ていたので、責めることも、物足りなく思うこともなかった。
ナナセはナナセなりに、精一杯ミズキの支えになりたいと想ってくれている。
「私、ナナセ君のそういうところも含めて、大好きだよ。
だから、そんなふうに落ち込まないで?」
優しい声音でナナセに話しかけた。
『……ありがとう。ミズキちゃん』
ナナセはミズキの優しさに癒され、励まされていた。
付き合う前から……。
『俺も、同じ気持ちだから……』
これがナナセの精一杯の愛情表現。
電話で顔が見えない状態でも、なかなか好きとは言えない。
ミズキのことが、誰よりも大好きなのに…………。
二人は、しばらく互いの学校生活の話をした後、電話を切った。