しゃぼん玉
すると、毎度のことと言うべきか。
メイの幼なじみ、松本リク(まつもと·りく)という少年がメイの方に駆け寄ってきた。
リクは、メイと同じ18歳。高校三年生。
二人は、生まれた頃家が隣同士だった。
メイの両親が離婚し、メイが今の土地へ引っ越して来てからも、リクはメイの様子を心配し、こうしてしょっちゅうメイの前に現れる。
メイは据(す)わった目をして、
「また来たの?」
「何度も来るって。
お前、また私服かよ……。
ちゃんと行けって言ってるのに、また学校サボったの?」
「うるさいなぁ。
しょーがないじゃん。
昨日もババアのヤツ、また男連れ込んでて家ん中入れなかったんだもん。
制服、家だし」
他人事のように冷静に話すメイに、リクは本気で心配した顔をして、
「またか……。
俺、おばさんに言ってやるよ!!
制服も取りに行ってやるから!
だから、お前ちゃんと学校行け」
リクはこんこんと説得を始めた。
メイはうんざりした顔をしている。