しゃぼん玉

「名刺、か……」

シュンは誰にも聞こえないような声でつぶやいた。

その声は、どこかしんみりした夜風の中に消えていく……。

“現物見てないから何とも言えないけど、そんなのいくらでも偽造できるよな……”


シュンが切り出した疑惑によってみんなの中に不穏な空気が流れたが、ミズキはそれを和らげるように、

「宇都宮さんのこと、疑っていいのかまだわからないけど、なんだか気になるし、みんなで調べてみない?」

「調べる??」

真っ先に反応したのはマナだった。

「うん。リク君に宇都宮さんの名刺貸してもらってさっ。

そしたら、今より宇都宮さんのことがわかると思うから。


私も、シュン君に言われてみたら、何だか気になって。

たしかに、穂積さんちの状況、変わらなさすぎるから……」


宇都宮がメイの前に現れてから、約2ヶ月。

シュンの指摘通り、宇都宮が弁護士ならば、穂積家の虐待問題に対して何かしら動きがあってもいい頃だ。


シュンが気付いてくれなかったら、ミズキ達は弁護士バッジのことにも気を注げなかったかもしれない。

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