しゃぼん玉

「メイちゃん!」

商店街を抜けて駅前の大通りに出た時、メイは聞き覚えのあるしわがれた声に呼びとめられた。

メイと宇都宮が同時に振り向くと、そこにはメグルの祖母である、滝川清(たきがわ·きよ)が立っていた。


清は、野菜や魚やらを買うために商店街に来ていたと朗らかに話す。

宇都宮は、内心舌打ちした。

穏やかに笑っているが、清は宇都宮を訝(いぶか)しんでいる。


清はメイの二の腕を柔らかく叩き、

「今夜はメイちゃんの好きな照り焼きハンバーグを作るんだ。

さ、一緒に帰ろう」

「あ……」

メイは、宇都宮にホテルでの宿泊をすすめられている手前、清の言葉に戸惑った。

それに、夕食はさきほどファミレスで済ませてしまった。

だが、宇都宮は面倒な事態を回避するために、

「メイちゃん、その方の言う通りに。

僕はお節介を焼き過ぎたようだ。

また、話しにくるね」

と、その場を去った。

メイは宇都宮の言動を不思議に思ったが、特に深読みすることもなく、清と滝川家に戻ることにした。

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