しゃぼん玉

清は、メイが寡黙(かもく)なことを知っているからか、自らポンポンと口を開いて話題を振りまく。

その内容は、今朝、洗濯物が風に飛ばされそうになったとか、近所の猫が子猫を産んだ……など、メイが返事をしてもしなくても、何も問題のない世間話ばかりだった。


メイはすでにファミレスで夕飯を食べてしまった手前、清の作る食事も断ろうと思ったのだが、

「今日は昼間からヒザが痛くてね。

モタモタしてたら、買い出しに行くのが遅くなっちゃったんだ。

夕ご飯、遅くなっちゃうけど、待っててね」

そう言う清の微笑みは優し過ぎたので、無理してでも食べなくては、と思った。

と同時に、その清の微笑みには、かつての星崎リョウに近い温かさがあった。



――しゃぼん玉、好きなんだ?――

リョウに言われた言葉を思い出す。

メイは、リョウとの思い出を振り切るように、清の顔を強く見つめた。

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