しゃぼん玉

菜月と大成に、何を言えばいいのかわからない。

ただ、菜月のことが心配で、ミズキは考えるより先に菜月のいる部屋へ向かっていた。


大成が単身赴任する前までは、大成も使っていた両親の寝室。

キングサイズのベッドが置かれたフローリングの部屋。

ホワイトの壁と家具で占められたこの部屋には、その色彩も手伝って、寂しげな空気がたちこめていた。


「お母さん……」

帰宅の挨拶代わりに、ミズキはそう呼びかけてみる。

頭を覆うようにクリーム色のシーツをかぶっていた菜月は、操り人形のようにそろりと上体を起こした。

その表情は、深い沈鬱(ちんうつ)さを放つ。

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