しゃぼん玉

大成は、菜月とミズキの顔を交互に見た。

「本当に、悔しいな……。

リョウがあんな風に痛ぶられていたのに、私達は助けてあげることもできなくて……。

その犯人も、見つからない。


たとえ今、このノートを持って警察に行ったとしても、もう遅い……。

リョウは、帰ってこない……。


でも、そう思うのは僕だけじゃないよな。

母さんとミズキも、リョウを亡くした辛さは同じだ。

なのに僕は、自分だけが悲しいんだって逃げていた。

仕事を楯(たて)に、ずっとアパートにこもって、リョウのいない現実から目を背けようとしてた……。

それが、ミズキにだけ重いものを背負わせる結果になったんだ」

「お父さんは、リョウのこと可愛がってたし、仕方ないよ……」

リョウの死以降、単身赴任先のアパートにこもりがちだった大成を気遣うように、ミズキはそう言った。

< 424 / 866 >

この作品をシェア

pagetop