しゃぼん玉
大成は、菜月とミズキの顔を交互に見た。
「本当に、悔しいな……。
リョウがあんな風に痛ぶられていたのに、私達は助けてあげることもできなくて……。
その犯人も、見つからない。
たとえ今、このノートを持って警察に行ったとしても、もう遅い……。
リョウは、帰ってこない……。
でも、そう思うのは僕だけじゃないよな。
母さんとミズキも、リョウを亡くした辛さは同じだ。
なのに僕は、自分だけが悲しいんだって逃げていた。
仕事を楯(たて)に、ずっとアパートにこもって、リョウのいない現実から目を背けようとしてた……。
それが、ミズキにだけ重いものを背負わせる結果になったんだ」
「お父さんは、リョウのこと可愛がってたし、仕方ないよ……」
リョウの死以降、単身赴任先のアパートにこもりがちだった大成を気遣うように、ミズキはそう言った。