しゃぼん玉
すると、嬉しそうに夕食の支度をしている正美とは裏腹に、難しい顔をした義弘が、新聞を両手にすでにダイニングテーブルのイスに座っていた。
義弘はリクの姿を見るなり、手にしていた新聞を音も立てずにテーブルに置くと、
「リク、座りなさい」
謹厳(きんげん)な義弘の面(おもて)を前に、リクは静かにイスに座る。
義弘は、元から威圧感のある表情を更に固くして、
「お前、進路のことちゃんと考えてるのか?
最近、毎晩のように遊び回ってるようだが。
もう高校三年生なんだぞ。
遊ぶなとは言わないが、やることはきちんとやれ」
リクはバイトしていることを両親には隠し、友達と遊んでいることにしている。