しゃぼん玉
「えっ!?」
「なんだと!?」
予想外だった息子の言葉にショックを受ける正美の声と、義弘がイスから立ち上がる音が交ざった。
正美は泣きそうな顔でリクの方へ近寄り、
「家を出る……?
一人暮らし?
就職…?
いつからそんなこと考えてたの!?
夏休み明けの三者面談の時には、N大学を目指してるって話してたじゃない……。
先生も、リクの成績なら合格するっておっしゃってくれてたし、リクもそのつもりでテストを頑張ってきたんじゃなかったの?
N大学は家からも通える距離にあるんだし、就職なんて、リクにはまだ無理よ……」
名門私立音羽大学の講師をしている義弘と結婚して以来、専業主婦だった正美はそう言い、声を震わせた。