しゃぼん玉
N女子大学の裏口に来たミズキは、さきほどアイリに言われていた通り、彼女に到着の連絡を入れた。
電話を切ると、アイリはすぐにその場に走ってきて、ミズキとナナセをゼミの教室に案内した。
「ナナセ君も、一緒だったんだね……」
そう言うアイリのつぶやき声が、細く小さく薄暗い通路に響く。
ミズキとナナセは、そんなアイリの口調に、なぜだか胸がチクリと痛んだ。
アイリが彼氏の部屋で見つけたリョウ関係の物。
それもものすごく気になるが、赤く腫れたアイリのまぶたも、見ていてつらくなる。
彼氏のことで何かがあったのは、一目瞭然だ。
そんなアイリの悲しげな横顔は、彼女の電話を受けた時から感じていた胃を溶かすような不安感を、強めていく。
学舎の廊下をしばらく歩いた先には、いくつかの白い扉が列んだ場所がある。
アイリはとある扉の前で立ち止まると、銀色のドアノブをゆっくりと回し開いて、中の照明をつけた。
ミズキとナナセを、中に招き入れる。
長方形の茶色いテーブルが四つ、正方形をかたどる様に並べた、狭い教室。
長い間暗い場所にいたせいか、この教室の白さや電灯は目にしみるように眩しくて、ミズキとナナセは反射的に目を細めた。