しゃぼん玉

「雨……」

まるでメイを探すなと言わんばかりに、地を揺らす雷鳴がリクの耳をつんざく。

地面を殴りつける激しい雨。


制服が水を吸って重くなるのを全身で感じながら、リクは疲労感の増した足をさらに走らせた。

“寒いな……。

メイは、濡れてないよね?”

動きが鈍くなった体にムチを打って、心当たりのある最後の場所へ走った。

もう、そこしかない。



メイは、学校帰りの時から変わらぬ形(なり)のまま、かつての自宅から近い公園に来ていた。


小学四年生の夏の日。

転校する前日に同級生達に暴力を受け、逃げ込んだ場所。

高さ150センチほどの山のモニュメントの裏に、もたれかかるようにして座り込んだ。

通学カバンを抱きしめて……。


家出することに決めたのはいいが、メグルの家に戻る気にもなれず、何もする気がおきない。

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