しゃぼん玉

それでもメイは執拗(しつよう)に砂を集め、横たわる少年の顔や頭に投げつけた。

砂が目に入ったらしく、少年は謝りはじめた。

「やめてください!

ごめんなさい!!」

だが、メイはやめなかった。

機械的な動きで手を動かし、砂を少年に投げ続ける。

「あんたみたいなやつ見てると、腹が立つんだよ。

親に可愛がられて、大切にされて、何不自由ない暮らししてんでしょ?

このくらいのことは我慢してくんなきゃー」

メイの顔は次第に笑顔になってゆく。

それは、幼い頃わずかに感じた喜びからくるものではなく、自分より幸せな家庭に住む少年を傷つけることの快感から出た、狂気混じりの笑みだった。

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